決意するということ

Oさんの口はいつでも少し開いていて、小さい前歯が二本少しばかり見えている。決意を見せるといって、口をぎゅうっと閉じて一文字にしてみせるので、おかしくて笑ってしまう。Oさんのすばらしいところは継続力で、継続力と言うより止めるタイミングが掴めないだけかもしれないけれど、とりあえず地道にやっている。ここんところ、フィギュアスケート浅田真央ちゃんのドキュメンタリーがよく流れていて、わたしは感心して眺めている。浅田真央ちゃんは長いトンネルのような不調に陥っていて、海外のメディアから批判とか受けるんだけど、今、目指すべきことがぶれたりしない。だって完璧にできていないのに、できないからといってすぐ変えてしまうなんてもったいないから、と言って、毎日練習に励んでいる。その健気さに励まされてしまう。でも、キムヨナも立派で、キムヨナの演技を見た後は、「キム」「ヨナ」とOさんとかけ声を掛け合って楽しんでいる。キムヨナが唇を片側だけにゅっと上げて、ほくそ笑むのが見ていてこちらがとても愉快になる。それを見ながら、自分を省みる。Oさんはのんびりしているけれど、目指す方向はぶれずに身をわきまえて努力するから、なんとかなるだろう。わたしは、今日気がついたんだけれど、ものごとが決まってしまうのが苦手なのです。決められるのももちろん嫌なので、そうなんだけれど案外期待に応えようとしてしまうので、そのうち違和感で死にそうになる。だからもう、放棄したい。何者かになるなんて、すでに適任がたくさんいるのだから、わたしは抜ける。役割とか、責任とか、達成とか、人格とか、一貫性とか、もうどうでもいいです。とりあえず、貯金だけは続けたいと思います。