春一番が吹いた日の翌日

わたしが女子高生の頃は、肩より長い髪は結ばなくてはいけなかったのに、歩道を歩く女子校生たちは肩より長い髪を下ろしている。紺色の制服に、さらさらの黒髪が、顔の横で揺れているのを、自動車教習所の送迎バスの中から眺めている。格別、女子高生に思い入れもない、自分が高校生だったときのこともよく覚えていない。Oさんは今自動車教習所に通っていて、私はヒマだったのでついてきた。そしたら、まんまと遅刻して、キャンセル待ちになってしまった。教習所には若者がほとんどで、休憩室で自販機のカップコーヒーを飲んでいたら、後からやってきた若者たちは微妙にずらして座る。この距離感は若者ならではで、年をとると気持ちの距離感がとれる分だけ、実際の距離は図々しくも近いものとなってしまう気がする。体は近くて、気持ちは距離を置く方が得策なのだ多分。これまた得策を確保して行かなくては、やってられないのだ仕事なんて。朝、出勤したら休憩室に新しく縦型の靴箱が据えられて、靴がそれぞれ収められていた。とてもいまいましくなった。靴までも管理下かと思うと、嫌だ嫌だ。嫌だ嫌だといいながら、靴箱に自分の靴を収める。そういえば、以前派遣で働いてたころ、決まったロッカーじゃないところに自分の荷物を入れていたら、同僚の女子から批判のメールが来て無視されるようになった。ロッカーとか靴箱とか、ルールの象徴なのだ!家への帰り、近所の一軒家に梅の花が咲いていた。今年は初めてで、来年は2度目で再来年は3度目で、そいでそのうち、どーでもよくなって、何度目かも忘れてしまうのだ。